金鯖、蛸を釣る

今年の春、金鯖は蛸を釣った。

というよりは、蛸が釣り針に引っ掛かった。

 

確か、今年の4月のことです。

金鯖は、いつもの釣り場に釣りに出かけました。

その時の狙いは、イシモチです。

いつもは、餌はアオイソを使いますが、その日は岩イソを使っていました。

岩イソの値段は高いですが、アオイソよりも釣れる魚の種類が多いように感じます。

少しでも釣りが楽しくなるようにと思って、釣具屋で岩イソを購入しました。

 

その日は、岩イソを餌にして、ちょい投げで釣りをしていました。

10メートルほど先に投げ込んでいました。

私が通っている釣り場ですが、年々釣れなくなっています。

狙っているイシモチも、バンバン釣れることはあり得ません。

じっくり腰を据えて、坊主覚悟の釣りでした。

 

金鯖の場合、釣りをする時間は、いつも三時間ほどと決めています。大体、昼ごはんを食べて、その後に釣りに行きます。

日が暮れる前には帰ります。

暗くなって釣りをすることはありません。

釣りの場合、夕刻から数時間がゴールデンタイムです。

金鯖の場合、そのゴールデンタイムに差し掛かったころに帰りますから、坊主が多いのは当然ですが。

金鯖がゴールデンタイムに釣りをしないのは、釣りの片付けを暗くなってしたくないからです。

釣りの片付けは、釣り道具を綺麗に洗ったり、拭いたりします。釣り道具は汚れるので、室内で片付けをする訳にはいきません。

屋外で片付けをすることになります。

そうなると、日があるうちに帰宅することが必要になります。

翌日に片付けるということもできますが、塩水に曝した釣り道具を一晩放置することは、釣り道具の寿命を縮めることになります。

金鯖もゴールデンタイムに釣りをしたいのはヤマヤマですが。

 

蛸の話に戻ります。

じっくり腰を据えて、竿を見ていました。

すると、釣り竿が徐々にしなっていきます。

何かゴミが糸に引っ掛かったのかなと思いました。

仕方なく、ゴミをとるために竿を手に取り、リールを巻きました。

かなり重いゴミのようです。

そういえば、レジ袋が釣り針に引っ掛かったときのことを思い出します。

頑張って、引き上げるしかありません。

重いリールをゆっくりゆっくり巻きます。

しかし、リールを巻いている感じがゴミとも異なるように感じます。

もしかしたら、生き物。

少し期待をもって、重いリールを巻きます。

徐々に水面下の獲物が見えてきます。

 

金鯖が通っている釣り場では、蛸が釣れます。

蛸エギを投げている釣り人を良くみます。

蛸が釣れている現場をみたことも数回あります。

ですから、意識下には蛸の可能性も感じてはいたのではないかと。

 

いよいよ引っ掛かった物体が上がってきます。

何か、蛸のような。

これは、蛸?

もしかしたら、蛸?

 

更にリールを巻きます。ドキドキしながら巻きます。

釣りで、一番楽しい時間です。

物体が水面に顔を見せます。

蛸です。

間違いなく蛸。

蛸であれば、岸壁に引っ付かれたら、上げれなくなります。

玉網を使うことは出来ません。

思いきって、抜きあげるしかありません。

蛸を釣っている方は、皆さん抜きあげています。

 

蛸エギは、蛸を釣る専用の道具です。

でっかい釣り針が着いています。

そのでっかい釣り針で蛸を引っ掛けて釣り上げます。

 

金鯖の仕掛けは、ちょい投げです。

普通の釣り針です。

そんな普通の釣り針で、蛸は引っ掛かるのか。

抜き上げたら、すっぽ抜けるかもしれません。

 

思いきって竿に力を入れます。竿を強く握り、思いきって抜きあげます。

蛸は、すっぽ抜けることなく上がりました。

抜き上がった蛸は、思ったよりも大きな蛸でした。

2㎏はありそうです。

金鯖が初めて釣った蛸です。

釣ったというよりも、引っ掛かっただけです。

蛸に引っ掛かった釣り針を確認すると、蛸の口ではなく、脚に引っ掛かっていました。

 

釣りをしていると、こんなサプライズもあります。

釣りの醍醐味です。

これがあるから、釣りが止められません。

自然は面白い。