水備蓄を考える

大規模災害への対応として水備蓄が必要と推奨されています。

水は、飲用水として一人一日3リットル必要といわれています。

四人家族で一週間分を備蓄しようとすると84リットル、一ヶ月分であれば360リットル、という計算になります。

水の備蓄必要期間を決めるためには、水の供給予測を行う必要があります。

まず、水道の復旧期間の推定ですが、阪神淡路大震災では震災発生後一週間では全く回復していません。

一週間後から徐々に復旧が始まり、一ヶ月後には80%まで復旧し、二ヵ月後には100%近くまで復旧したようです。

次に公的な水備蓄対応ですが、私の住む横浜市では、災害への水備蓄として、小中学校に水備蓄機能を持たせているようで、近隣の小中学校で給水を受けることが出来るようになっています。

また、市内23箇所に配水池が設置され、大規模な給水を行えるようになっており、横浜市民の一週間分の水備蓄を行っています。

公の水道以外の可能性はどうでしょうか。

水道以外に可能性として考えられる水供給ルートは、池、川、雨、井戸が考えられます。

池や川の水を飲料に使用することは、都市部では難しいと判断します。

雨に関しては、降り出して最初の雨(一時間程度)は使えないが、その後の雨は比較的綺麗な水であるという説があります。

他に全く安全な水が無い様な本当の緊急時には雨を飲用水として使うことも考えなければいけないのではないでしょうか。

次に井戸ですが、自宅に井戸があれば、全く問題はないでしょう。

しかし、自宅に井戸がある人は限られており、都市部では井戸を期待することは難しいと思われます。

横浜市では災害時に井戸を所有する方が井戸を近隣の方々に提供する制度があり、Webで公開しています。

そのような制度があれば、自宅の近隣に、そのような井戸が存在するかどうか調べることにより、ある程度の想定は可能となります。

現実に被災した場合は、Webを参照することも無理でしょうから、事前に井戸の位置は、確認しておいた方が良いですよね。

公的な水備蓄に関して、今までの内容を整理します。

  • 公の水道機能の完全復旧には二ヶ月必要である。
  • 公の水道機能回復が始まるのに災害発生後一週間程度はかかる。
  • 横浜市の場合、市が一週間程度の水備蓄を行っている。
  • 横浜市の場合、災害時には一般の井戸を開放する制度がある。

以上を総合すると、横浜市では飲用水に関しては、備蓄を一週間分行っておけば、近隣の小中学校での給水や、一般家庭井戸の災害時開放制度により、水道が復旧するまでの間は大丈夫なようです。

一方、飲用水以外の水に関しては、復旧まで2ヶ月。

もし家庭備蓄がない場合は、非常に困ることが予測することが出来ます。

最も困るのは水洗トイレの水だといわれています。

風呂や洗濯の水は多少我慢できたとしても、トイレを我慢することは出来ません。

阪神淡路大震災においても、トイレの水には非常に困ったようです。

ここで、トイレの水に関して、考えたいと思います。

非常時であるため、水を流す回数を一日一回とします。

水洗トイレで一回流すと、約10~15リットル必要といわれており、一週間で70~105リットル、一ヶ月で300~450リットル、二ヶ月で600~900リットルの水が必要という計算になります。

近隣の給水所に毎日トイレ用の水を調達に行くということも考えられますが、横浜市の水備蓄量は19万立法メートルです。

横浜市の人口370万人で割ると、一人当たり50リットルという計算になります。

トイレ用の水は備蓄されていないと考えるべきだと思います。

そうなれば、生活用の水は自家調達が必要となります。

トイレ用の水であれば、少々汚い水でも問題はありません。

飲用水の備蓄であれば、常に細菌による汚染に注意する必要があるため、水道水を備蓄するにしても、適切な頻度での交換が必須となりますが、トイレ用の水であれば、そのような配慮は不要です。

問題となるのは、その保管スペースです。

2か月分の600リットルの水を備蓄できる容器は結構な大きさになります。

一般的に使用されている水備蓄はポリタンクだと思うのですが、ポリタンクの容量は20リットルですので、600リットルはポリタンク30個分ということになります。

これだけのポリタンクを備蓄するのは、現実的ではないですよね。

ちなみに、家庭用のお風呂を満杯にすると、200~300リットルあるらしいです。

常に満杯にはできないでしょうが、いつもお風呂に入れている量の水を、常にお風呂に張っておくことは有効だと思います。

お風呂に水が張ってあれば、2週間から3週間分のトイレの水は確保できるのではないでしょうか。

金鯖は一戸建に住んでいますので、一戸建の場合の水備蓄を考えます。

マンションの場合はどのように考えれば良いのでしょうか。

マンションは屋上に水の供給タンクが設置されています。

あのタンクにはどれだけの水が保存されているのでしょうか。

タンクの水が、マンション居住者の何日分の生活を賄えるのでしょうか。

また、タンクの水の分配も問題になりそうです。

居住者に公平に分配されれば良いのですが、我先に備蓄に走れば、瞬く間にタンクの貯水量も底をつくでしょうから。

マンションの場合、余分な場所が少ないでしょうから、水を備蓄するにも、大変だと思います。

マンションは、一戸建と比較して、災害に強い居住形態だとは思うのですが、水備蓄に観点で考えると脆弱な面がありそうです。

特に、高層マンションを想定すると怖いことになりそうです。

光が強ければ闇も濃いといいますから。